この記事では、葬儀の流れや主なポイント、ご逝去から葬儀社の手配、遺体の搬送・安置、葬儀の進行、葬儀後の手続き、葬儀後に必要な諸手続きについて詳しく解説します。この記事が、初めて葬儀を行う方々の参考になれば幸いです。
亡くなってからの葬儀の流れ・日数の目安は2~5日
お通夜・葬儀の日程には厳密な決まりはありませんが、ご遺体の安置や保存のため、できるだけ早く行うのが望ましいです。一般的には、亡くなられた翌日にお通夜、その翌日に葬儀を行います。ただし、火葬は法律で亡くなられてから24時間以内に行ってはいけないと定められているため、亡くなられた当日に葬儀を行うことはできません。
高齢化の進行に伴い、亡くなられる方の数が増えている一方で、都心や一部の地域では火葬場の数が不足している状況です。このため、火葬場の予約が取れず、1週間以上先に葬儀を行うケースもあります。
亡くなられてから葬儀が終わるまでの所要日数は、最短で2日、平均で4~5日とされています。ご家族が亡くなってから葬儀が終わるまでの目安は3~5日です。
図:亡くなってからの流れ 日数は2~5日
亡くなってから葬儀の事前準備(1日目)
ご逝去
ご臨終時には、できるだけ多くの親しい人々が同席することが理想的ですが、遠方に住む家族や三親等以内の親族が直接参加できない場合もあります。そのため、臨終が近いと予見される際には、これらの近親者へ速やかに情報を伝えることが重要です。
電話連絡は、速やかで直接的な情報伝達に有効です。事前に親族の連絡リストを作成し、定期的にコミュニケーションを取っておくことで、緊急時にも迅速に連絡を取り合えるように準備しておくことをおすすめします。
お亡くなりになった場合は、まず訃報の連絡を行います。訃報は家族や友人、会社関係者、菩提寺などに速やかに知らせます。利用する葬儀社が決まっている場合は、葬儀社にも連絡しましょう。
ご逝去後は、「末後の水」や「エンゼルケア」を行うのが一般的です。病院で亡くなった場合は、看護師または病院と提携している業者からエンゼルケア(死後の処置)を受けます。エンゼルケアとは、点滴の針やモニタを体から外し、止血や清拭(蒸しタオルで身体を拭く行為)をする処置のことです。
遺族は、葬儀社または遺体搬送専門業者に連絡を取り、亡くなった場所(病院・自宅)を伝えて搬送を依頼します。この際、医師に「死亡診断書」を書いてもらうことが必要です。
死者の口に水を含ませる儀式のことです。この儀式は、亡くなった直後に行われ、死者の魂を慰め、浄化するための伝統的な行為です。日本の仏教や神道の儀礼の一環として行われることが多く、家族や近親者が行うことが一般的です。
葬儀社・お寺の手配
お亡くなりになると、ご遺体は一時的に病院の霊安室に安置されますが、長時間の滞在はできません。そのため、速やかに葬儀社を手配し、安置場所への搬送を依頼する必要があります。利用する葬儀社が決まっている場合は、速やかに連絡を入れ、遺体の搬送や葬儀の手配を依頼しましょう。葬儀社は24時間対応していることが多く、迅速に対応してくれます。
病院が葬儀社を紹介する場合もありますが、紹介を断っても問題はありません。納得のいくお別れを実現するために、複数の葬儀社を比較し、検討することが重要です。信頼できる葬儀社を選ぶことで、故人への最後の敬意を表しつつ、遺族の希望に沿った葬儀を実施することができます。
仏式での葬儀では、僧侶の読経や戒名を授ける儀式が必要となるため、僧侶の手配は重要です。
ご逝去の際には、まず菩提寺(普段お世話になっているお寺)に連絡を入れ、葬儀の日程調整や僧侶の手配を行いましょう。
もし菩提寺がない場合には、葬儀社を通じて僧侶を紹介してもらうことができます。葬儀社が決まったら、僧侶の紹介についても相談すると良いでしょう。信頼できる葬儀社に相談することで、適切な寺院を紹介してもらい、スムーズに葬儀の準備を進めることができます。
ご遺体搬送・安置
法律により、死後24時間は火葬できないと定められています。そのため、寝台車で遺体を搬送し、適切な安置場所を確保する必要があります。
依頼した葬儀社に寝台車でご遺体を搬送してもらい、葬儀までの間は、葬儀社の遺体安置所や自宅に安置します。遠方で亡くなられた場合には、飛行機や船舶を使って搬送することもあります。
自宅での安置が難しい場合は、葬儀社の安置専用施設や、公営や民間の安置施設の空き状況を確認して搬送してもらいましょう。
葬儀の打合せ・準備
葬儀の打合せは、故人にふさわしい葬儀を実現するための重要なステップです。まず、家族で話し合い、葬儀の形式、場所、日時、予算、宗教・宗派、喪主の決定などを検討します。これらの基本事項が決まったら、葬儀社と詳細な打合せを行います。打合せの内容には以下のような項目が含まれます。
打合せ内容
- 宗教・宗派の確認
- 葬儀形式・プランの決定
- 葬儀場・火葬場・日時の決定
- 喪主の決定
- 死亡診断書の提出や火葬許可証等の必要書類の確認
準備すること
- 喪服の準備
- 棺に入れる物の準備
- 友人や知人などに葬儀のお手伝い係を依頼
- 弔辞の依頼
- 遺影の選定
葬儀社との打合せは1~2時間程度かかることが一般的です。事前に家族で葬儀の具体的な内容を決めておくと、打合せがスムーズに進みます。また、故人の遺志を尊重し、家族の希望に沿った葬儀を実現するために、葬儀社の担当者と密に連携し、明確なコミュニケーションを取ることが重要です。
葬儀の形式や規模に応じて、職場や学校、関係者への連絡、供花や供物の手配も行います。供花や供物を手配する際には、名札の文字を間違えないように注意し、並べる順番も考えておきましょう。
葬儀前日の流れ(2日目)
死亡届の提出
「死亡届」は、故人の死を公式に記録するために必要な書類で、死亡から7日以内に提出する義務があり、あわせて「埋火葬許可申請書」も提出する必要があります。問題なく受理されると、納骨の際に必須となる「埋(火)葬許可証」が発行されますので受け取ります。
また、死亡届が受理されると火葬許可証が発行され、火葬の際に必要な書類ですので、なくさないよう大切に保管しましょう。
提出先は市町村役場で、必要事項を記入します。近年では、葬儀社が代行して提出するケースが増えています。
死亡届の提出の際には、届出人を立てる必要があり下記の関係となる方のみです。
- 同居の親族
- その他の同居者
- 家主、地主、家屋管理人、土地管理人
- 居していない親族や後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者
湯灌(ゆかん)の儀・納棺(のうかん)
葬儀では、故人への最終的な別れを告げるために湯灌の儀および納棺が行われます。
湯灌の儀は、故人の体を洗浄し、清拭(せいしき)や整髪、化粧を施し、最後に死装束へ着替えさせる儀式です。この儀式は、故人の尊厳を保ちながら生前の姿を再現し、現世の汚れを洗い清める意味があります。
納棺は、故人を棺に納める特別な儀式です。故人の生前の愛用品や思い出の品、花、食べ物などを棺に入れることができます。ただし、棺に納める物品には規則があるため、事前に確認が必要です。納棺は、故人の人生の旅を象徴する副葬品を添えることで、故人に対する深い敬意を表します。
通夜・通夜振る舞い
通夜
通夜は、故人と最後の夜を過ごす儀式で、家族や親戚、故人と縁のあった人々が集まり、故人を偲びます。最近では、仕事関係やご近所の方も参列しやすいように、夕方18時ごろから1~2時間程度で行う半通夜が主流です。従来の通夜は夜通し故人を見守る形式でしたが、生活スタイルの変化に伴い、半通夜が選ばれることが増えています。
通夜の流れは、僧侶の入場、読経、焼香、喪主の挨拶が基本です。僧侶が20~30分程度の読経を行い、その後、喪主、遺族、親族、一般弔問客の順に焼香を行います。通夜の所要時間は2~3時間程度で、一般的には18時~21時頃に行われます。
通夜の準備は、葬儀社が全て手配します。遺族は、受付係との打ち合わせ、席次や焼香の順番の決定、僧侶への挨拶、供花や供物、お礼状、返礼品の確認などを行います。通夜は故人との思い出を振り返り、心の準備を整えるための重要な儀式です。
通夜振る舞い
通夜の後に行われる通夜振る舞いは、参列者に対する感謝の意を表し、故人を偲ぶためのものです。弔問者や親族、親戚に食事や飲み物を振る舞い、故人との最後の食事を象徴的に共にします。通夜振る舞いは別室で行われ、内容は事前に葬儀社と相談して決定します。
通夜振る舞いへの招待は、遺族の希望や地域の風習によります。不明な点がある場合は、葬儀社や経験豊かな親族に相談することをお勧めします。
葬儀当日の流れ(3日目)
葬儀・告別式
葬儀・告別式は、故人との最後のお別れを行う儀式です。一般的には午前中に行われ、所要時間は1~2時間程度です。火葬や初七日法要を同日に行うこともありますが、葬儀の流れや詳細は宗派や地域の風習によって異なるため、事前に葬儀社に確認しましょう。
葬儀・告別式が始まると、僧侶が30分から60分程度の読経を行い、その中で戒名が授けられ、引導渡し、弔辞と弔電の読み上げ、再び読経が実施され、遺族や親族、そして参列者全員が順番に焼香を行います。ただし、これらの一連の流れは、規模、形式、宗旨宗派によって形式が異なるため、予め確認しておくことが大切です。
葬儀・告別式の閉式後、故人を火葬場へ送り出すためにお別れの儀が行われます。まず、喪主や参列者が棺に花や副葬品を入れ、最後のお別れをします。その後、棺のふたを閉じ、遺族や親族によって棺は寝台車に乗せられ、火葬場へ搬送されます(出棺)。
火葬場へ同行しない参列者は、この時点で式場から解散となります。
葬儀・告別式の1時間前から受付が開始され、参列者は芳名帳に記帳し、香典を持参されている場合は受付で受け取ります。葬儀の進行や準備は葬儀社が担当しますが、遺族は受付係との打ち合わせ、席次や焼香の順番の決定、僧侶への挨拶、供花や供物、お礼状、返礼品の確認などを行います。
葬儀・告別式は、故人との最後の別れを惜しむ重要な儀式です。準備や手続きを葬儀社としっかり確認し、遺族や参列者が心を込めて故人を見送ることができるようにしましょう。
火葬・骨上げ(収骨)
葬儀・告別式の後、故人を火葬場に向かわせます。ここで、故人を火葬炉に入れる前に「納めの儀」が行われ、火葬が始まります。その後、骨上げと呼ばれる儀式が行われ、遺骨を骨壺に納めます。この儀式では、喪主から始まり、親しい友人や関係者が順に遺骨を収めていきます。
火葬の所要時間は一般的に1~2時間程度であり、収骨の作業には約30分かかることが一般的です。ただし、故人の体格や副葬品の内容によって所要時間は異なる場合があります。
火葬場では、火葬許可証の提出が必要です。近年では、事前に葬儀社に許可証を預けることが一般的です。火葬後、遺骨を骨壺に納める際には、地域や宗派によって異なる方法がありますが、一般的には箸を使って行います。
還骨法要・初七日法要
還骨法要は、故人のご遺骨がご自宅へ戻った際に行う法要です。この法要では、遺族や親族が集い、故人の魂を迎え、家族の中に戻すことを祈ります。
初七日法要は、故人が亡くなってから7日後に行う法要です。通常、この法要は故人の魂を悼み、安らかな極楽浄土へと導くことを祈るために行われます。近年では、葬儀当日に初七日法要を行う「繰り上げ初七日法要」や、葬儀・告別式の中で行う「式中初七日法要」が一般的になっています。
初七日法要の所要時間は一般的に30分~1時間程度です。法要の内容は、僧侶による読経と、参列者が焼香を捧げることが含まれます。これらの法要は、故人を偲び、その魂を供養する重要な機会です。
精進落とし
精進落としとは、通常は四十九日の忌明けの際に行われる食事のことを指しますが、近年では初七日法要と火葬を同日に行う場合、「繰り込み初七日法要」として火葬後に直ちに行うこともあります。この際、火葬終了後に喪主や遺族が参列者に対して感謝の気持ちを込めて精進落としを行います。
精進落としの所要時間は一般的に1~2時間程度です。この会食では、故人を偲びつつ、参列者との絆を深める場として大切にされています。席順としては、僧侶が最上座に座り、参列者が上座に、そして喪主や遺族が下座に座るのが一般的なマナーです。
精進落としの内容は、祝事に用いられない素材を避けた和食中心の料理で構成され、そのスタイルや内容は予算や規模に応じて選ばれます。この食事を通じて、参列者と共に故人を偲び、励まし合う時間となります。
僧侶が精進落としの会食に参加しない場合には、代わりにお食事代をお渡しする必要があります。この際、表書きには「御膳料」や「御食事代」と記載します。費用の相場は5,000円~1万円程度です。
葬儀後の流れ(4日目以降)
後飾り壇の準備
葬儀後、四十九日法要までの間、ご自宅に祭壇(後飾り壇)を設置してご遺骨を祀るのが一般的です。祭壇は2~3段の組み立て式で、通常は葬儀社が用意します。設置場所はお仏壇の前が一般的ですが、まだお仏壇がない場合は、人の出入りが少なく、落ち着いて供養できる場所を選びましょう。
祭壇の飾り方は、最上段にご遺骨と白木位牌、下段に線香立てやおりんなどのお参り道具、お供え物(花やお菓子など)を置くのが一般的です。ご遺影は3段式の場合は中段、2段式の場合は上段に置くと良いでしょう。
四十九日法要の準備
四十九日法要(しじゅうくにちほうよう)は、故人が無事に極楽浄土へ行けるよう祈るための法要です。この法要は、亡くなってから49日目を目安に行われ、「満中陰法要(まんちゅういんほうよう)」や「忌明け法要」とも呼ばれます。
この法要では、僧侶による読経やお供え物の奉納が行われます。故人の遺影や位牌を飾る後飾り壇は、故人を日常の中に留め、遺族が慰めを見出す場所となります。
法要後には参列者が焼香を行い、その後、お斎(御斎・おとき)と呼ばれる共食の時間が設けられます。この法要は、故人への祈りと共に、遺族がこれからの人生を歩み始める新しい節目として位置付けられます。親族が集まる機会でもあるため、納骨を同時に行う場合も多く見られます。
四十九日法要に向けて以下の準備を進めます:
- 僧侶の手配: 早めに日程を調整し、僧侶に依頼します。
- 日程・会場の検討: 参列者の予定を考慮し、適切な場所を選びます。
- 案内状の送付: 参列者に法要の詳細を伝えるため、案内状を送ります。
- 会食の手配: 法要後の会食(お斎)を手配します。
- 本位牌の製作: 必要に応じて本位牌を用意します。
また、仏壇やお墓がまだ準備できていない場合もこの期間中に整えます。これらの準備には時間がかかることがあるため、できるだけ早めに取り掛かることが重要です。
葬儀費用等の支払い
葬儀終了後、葬儀社から請求書が発行されます。請求書の内容を確認し、問題がなければ支払いを行いましょう。支払い方法は以下の通りです。
- 銀行振り込み
- 一括現金払い
- 分割払い(葬儀ローン)
- クレジットカード
- コンビニ決済
葬儀社によって支払い方法が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
葬儀費用の全国平均は195.7万円(2017年日本消費者協会)です。規模やサービス内容によって費用は変動するため、事前に見積もりを取得し、予算を設定しておくことが重要です。これにより、適切な計画と予算管理が可能になります。
費用の支払いに困った場合は、「相続預金の仮払い制度」を利用することができます。この制度では、遺産分割前でも故人の口座から一定額を引き出すことが可能です。
葬儀後におこなう手続き
葬儀を無事に終えた後、遺族が取り組むべきさまざまな手続きがあります。初めて葬儀を行う方にとって、何をどのように進めるべきか分からないことが多いでしょう。先ずは期限があるものから計画的に進めていきましょう。
各種公的な手続き
公的手続については明確な手続き期限が定められており、短いと亡くなってから14日以内に行わなければなりませんので、注意が必要です。
手続き | 期限 |
---|---|
各種保険の資格喪失手続き・保険証の返納 | 10日以内 |
各種年金(厚生年金、共済年金、国民年金)の受給停止 | 14日以内 |
被扶養者の国民健康保険加入手続き | 14日以内 |
被扶養者の国民年金種別変更 | 14日以内 |
介護保険資格の喪失届 | 14日以内 |
世帯主変更の届出 | 14日以内 |
住民票の抹消届け | 14日以内 |
障害者手帳の返却 | 14日以内 |
児童手当の手続き | 14日以内 |
雇用保険受給資格者証の返還 | 1か月以内 |
相続放棄や限定承認の申請 | 死亡から3ヶ月以内 |
所得税準確定申告 | 死亡から4ヶ月以内 |
相続税申告、納税 | 死亡から10ヶ月以内 |
必要書類
- 各種保険証
- 年金手帳
- 死亡の事実を明らかにできる書類(住民票除票、戸籍抄本、死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
- 届出人の印鑑、届出人の本人確認ができるもの(免許証、保険証、マイナンバーカードなど)
年金受給者が亡くなった場合は、速やかに年金の受給停止手続きを行います。また、健康保険等の手続きも同時に進めましょう。
各種契約の解約・名義変更
故人名義の銀行口座やクレジットカード、公共料金の名義変更や解約手続きを行います。これも迅速に行うことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
- 銀行口座の解約
- クレジットカードの解約
- 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更・解約
- 固定電話やスマホ、インターネットの名義変更・解約
必要書類
- 死亡の事実を明らかにできる書類(住民票除票、戸籍抄本、死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書)
- 届出人の印鑑、届出人の本人確認ができるもの(免許証、保険証、マイナンバーカードなど)
必要書類はサービス提供会社によって異なるため、あらかじめ各社へ確認することをお勧めします。
相続手続き
ご家族が亡くなると、故人が遺した財産を正しく引き継ぐために、遺産相続の手続きを行う必要があります。相続手続きを行わないと、財産が故人名義のままとなり、預貯金の引き出しや不動産の売却ができなくなるといった問題が発生しますので、ご注意ください。
特に、遺産相続に関する手続きは必要書類も多く、非常に複雑です。そのため、司法書士、税理士、弁護士、行政書士といった遺産相続手続きの専門家にご相談いただくことをおすすめします。
不動産の名義変更
故人が不動産を所有していた場合、その名義変更が必要です。法務局での手続きには専門知識が必要な場合もあるため、司法書士に依頼するのが一般的です。
手続き内容: 登記名義の変更
提出先: 法務局
必要書類: 戸籍謄本、遺産分割協議書、登記済証(権利証)
各種給付金請求の手続き
残されたご遺族は、国や自治体が提供する公的な制度を利用し、手続きを行うことで以下のような給付金を受け取ることができます。
手続き | 期限 |
---|---|
葬祭費補助金制度 | 2年以内 |
高額療養費の支給申請 | 2年以内 |
国民年金の死亡一時金請求 | 2年以内 |
各生命保険の死亡保険金請求 | 3年以内 |
遺族年金 | 5年以内 |
未支給年金の請求 | 5年以内 |
高額療養費の支給申請:医療機関などで一か月の自己負担限度額を超えた医療費を支払った場合、申請をすると超えた額が支給される高額療養費の申請手続きもその一つです。しかし、故人が亡くなった後も申請できることを知らずに、受け取れなかった方も一定数います。
未支給年金の請求:年金受給者が亡くなった際、まだ受け取っていない年金や、死亡後に振り込まれた年金のうち、死亡月分までの年金は未支給年金として、その方と生計を共にしていた遺族が受け取ることができます。
遺品整理
初めての葬儀を終えた後、遺品整理は特に感情的な負担が大きい作業となりますが故人の遺品整理を行うことが必要となります。
遺品整理には、故人が遺した家具、家電、日用品、愛用品、洋服などをどうするか決める必要があります。また、遺品の中でも特に故人を思い出すものや心のよりどころになるものを「形見」と呼び、これを親族や友人と分け合う「形見分け」も一緒に行います。
遺品整理の時期には明確な決まりはありませんが、一般的には四十九日(忌明け)以降の法要が一段落するタイミングで行われることが多いです。また、一周忌などの回忌法要や、お盆、お彼岸といった行事の際に行われることもあります。
専門業者の活用
遺品整理が難航する場合や大量の遺品がある場合は、専門業者のサービスを利用することも検討してみてください。遺品整理業者は、効率的に遺品を整理・処分してくれるため、時間と労力を大幅に節約できます。
香典返し
香典返しは、葬儀に参列し香典をいただいた方々への感謝を示すとともに、「四十九日法要が無事に終わった」という報告を兼ねた行為です。四十九日法要の翌日から2~3日以内に相手に届くよう手配するのが一般的ですが、最近では、葬儀当日に香典返しを行うケースもあります。また、カタログギフトを贈り、先方に好みの品を選んでもらう形式も増えています。
費用相場はいただいた金額の3~5割(半返し)が一般的ですが、香典の金額は様々なので、個別対応は困難です。そのため、3つ程度の価格帯の品物を用意し、香典の金額に応じて適した品物を贈るようにします。品物はタオルやシーツ、石鹸など日常的に使える消耗品が適しています。
自身で探すのを手間に感じる場合は、葬儀社に依頼するのがおすすめです。
葬儀を執り行う意味
葬儀は、亡くなった人を尊重し、故人との別れを迎えるために行われる儀式です。文化や宗教によって異なる儀式がありますが、一般的には葬儀を執り行う意味は以下のものがあります。
まず、故人に対する最後の敬意を表す場であり、家族や友人が感謝の気持ちや愛情を述べ、共に過ごした思い出を振り返ります。また、遺族や友人、知人がお互いに支え合い、悲しみや喪失感を共有する場でもあります。
さらに、多くの宗教では霊的な意味を持ち、故人の安息を祈る宗教儀式が含まれます。社会的には、故人の地位や功績を称え、彼らが社会に残した影響を認める場でもあります。そして、喪失を受け入れ、悲しみを処理するプロセスとしても機能し、亡くなった人との別れを実感し、心の整理をすることができるのです。
葬儀の種類と選び方
葬儀には様々な種類があり、故人や遺族の希望に応じて選ぶことができます。以下に代表的な葬儀の種類を紹介します。
一般葬
一般葬は、親族や友人、知人が広く参列する伝統的な葬儀形式です。通夜と葬儀・告別式が行われます。
家族葬
家族葬は、親しい家族や友人だけで行う小規模な葬儀です。プライベートな雰囲気で、ゆっくりと故人を偲ぶことができます。
直葬
直葬は、通夜や葬儀を行わず、遺体を直接火葬する形式です。簡素で費用を抑えた葬儀方法です。
自然葬
自然葬は、故人の遺骨を自然に還す形式で、主に海洋散骨や樹木葬、空中葬などがあります。自然との調和を重視する方に選ばれています。
宗教別の葬儀の違い
異なる宗教を持つ場合、死生観の違いから葬儀の目的や進行、マナーに大きな差異が生じることがあります。日本では約9割の葬儀が仏教スタイルで執り行われていますが、仏式であっても宗派や地域によって葬儀の進行やマナーが異なることがあります。
不安な場合は、ご利用を考えている葬儀社に相談することをお勧めします。地域に応じた適切なご供養方法を提案してくれるでしょう。
以下に、代表的な宗教別の葬儀の違いを紹介します。
仏式葬儀
仏式葬儀では、僧侶による読経や焼香が中心となります。仏教の宗派によって儀式の内容が異なりますが、一般的には通夜、葬儀、告別式、火葬、納骨の流れがあります。
神式葬儀
神式葬儀では、神主による祝詞や玉串奉奠が行われます。神道では、死を「穢れ」として扱うため、清めの儀式が重要です。神式葬儀は「神葬祭」と呼ばれます。
キリスト教葬儀
キリスト教葬儀では、牧師や司祭による祈りや賛美歌、聖書の朗読が行われます。プロテスタントとカトリックで儀式の内容が異なることがありますが、いずれも故人の魂の平安を祈ることが目的です。
無宗教葬儀
無宗教葬儀は、宗教的な要素を排除し、故人や遺族の希望に応じた形式で行われます。献花や音楽、スピーチなどが行われることが多く、個人の人生を振り返る内容となります。
葬儀社の選び方
料金プランの確認
葬儀社によって提供される料金プランは異なります。事前に詳細を確認することで、予算に合った選択が可能です。葬儀の費用は、葬儀社の規模やサービス内容、葬儀の規模や内容によって大きく異なります。
そのため、葬儀社を選ぶ際には、複数の葬儀社の料金プランを比較検討することが重要です。葬儀社によっては、見積もりを無料で作成してくれるところもありますので、事前に見積もりを取り、費用を把握しておきましょう。
また、葬儀費用には、葬儀の費用以外にも、お墓の費用や仏壇の費用など、様々な費用がかかります。これらの費用も事前に確認しておくと、後で慌てることがありません。
葬儀社を選ぶ際には、後悔しないために、見積書を提出し費用について明確に説明してくれるか、質問に丁寧に答えたり細やかな心遣いができるかを重視すると良いでしょう。
24時間対応の有無
急な事態に対応できる24時間体制の葬儀社は安心です。対応時間を事前に確認して、万全の準備を整えましょう。葬儀は、突然の訃報によって、慌ただしく準備を進める必要が生じることがあります。
そのため、24時間体制で対応している葬儀社を選ぶことは、非常に重要です。24時間対応の葬儀社であれば、深夜や早朝など、時間外でも連絡を取ることができ、急な事態にも迅速に対応してくれるため、安心して葬儀の準備を進めることができます。
口コミと評判の確認
利用者の口コミや評判は信頼性の指標になります。インターネットでの評価を参考にして、選定の手助けとしてください。葬儀社を選ぶ際には、利用者の口コミや評判を参考にすると、より信頼性の高い葬儀社を見つけることができます。
インターネット上には、様々な葬儀社の口コミサイトやレビューサイトが存在します。これらのサイトでは、実際に葬儀社を利用した方の体験談や評価を見ることができます。口コミや評判を参考に、葬儀社のサービス内容や対応の質、料金の妥当性などを判断することができます。
また、葬儀社のホームページやブログなどでも、利用者の声や評判が掲載されている場合があります。これらの情報も参考にすると、より詳しく葬儀社について知ることができます。
葬儀の日程を決める際のポイント
葬儀の日程を決める際には、以下のポイントに注意することが重要です。
- 火葬場の予約状況を確認する
- 葬儀場や僧侶の都合を考慮する
- 参列者の予定を確認する
実際に葬儀の日程を決める際に避けるべきとされる日として、友引や仏滅があげられますが、多くの火葬場では友引を定休日としているため、火葬そのものができないことが多いです。
まとめ
亡くなられてからご葬儀までの流れや葬儀後の手続き等について、理解していただけましたでしょうか。
大切な方が亡くなった後、死亡診断書の受け取りから葬儀社の選定と打ち合わせ、お通夜・葬儀・火葬などの準備に追われることになります。時間が限られていますので、葬儀の日程や形式、規模などの計画決定や、参列者への連絡などを迅速に行わなければなりません。
このような心の重荷の中で、葬儀社のサポートは非常に重要です。適切なサポートを提供してくれる葬儀社を選ぶことが、ご家族にとって心強いことでしょう。複数の葬儀社に見積もりを取り、費用やスタッフの対応を比較検討し、最良の選択をすることが望ましいです。
大切な方との最後のお別れを、心残りなくスムーズに進めていただければと願っています。