葬儀の基礎知識と準備

家族葬の費用とその流れ、メリット・デメリットを徹底解説

家族葬の費用とその流れ、メリット・デメリットを徹底解説
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宮坂
宮坂
「家族葬」という言葉を聞くことも増え、「家族葬にすれば葬儀費用を抑えられる」というイメージ持っている方もいらっしゃると思います。
しかし一般葬との違いがわからない、実際に家族葬にすれば費用は抑えられるの?と気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では家族葬の費用や流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説します。あらかじめ十分な情報を知っておくことで、納得のいく選択ができるでしょう。

家族葬とは

家族葬とは、家族や親族、親しい友人・知人を中心に、小規模で行う葬儀形式のことを指します。参列者の範囲を限定し、アットホームでオリジナリティのある式にすることができます。

家族葬には明確な定義がなく、葬儀業者や仲介業者によって異なります。多くの葬儀社では、参列者の人数規模で一般葬と家族葬を区別しています。一般的には、参列者が10〜30人までを家族葬、それ以上を一般葬として扱うことが多いです。

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家族葬の特徴

家族葬の最大の特徴は、参列者の範囲を近親者や親しい友人・知人に限定することです。一般的な葬儀とは異なり、広く知人や職場関係者を招かないため、故人と生前に深い関わりのあった人々だけが集まり、より親密で落ち着いた雰囲気の中で行われます。参列者の人数は10名から30名程度が一般的です。規模が小さいため、家族や親しい人たちとゆっくりとした時間を過ごすことができます。

参列者が限られているため、アットホームで故人にふさわしいオリジナリティのある葬儀を行うことができます。形式にとらわれず、故人の趣味や生前のエピソードを反映させることができます。

なお、宗教葬であれば一般葬と同様に読経や焼香、戒名(法名)の授与が行われます。参列者の数に関係なく、儀式の流れは基本的に一般葬と変わりません。

家族葬の費用

家族葬の費用相場はいくら?

家族葬の費用相場

2024年に鎌倉新書が行った「第6回お葬式に関する全国調査」によると、家族葬の費用相場は105.7万円です。

最も回答が多い価格帯:60万円以上~80万円未満となっています。地域や葬儀社、サービス内容によって大きく異なることがあります。

別途、宗教者に支払うお布施は10万円から30万円ほどで、戒名の有無や戒名の位によって金額が変わります。

出典:【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)

家族葬でかかる費用の内訳

葬儀費用には、式場使用料、祭壇費用、棺代、骨壷代、遺影写真代、料理代、飲み物代、返礼品代、寺院への費用、葬儀社の手数料などが含まれます。

葬儀基本料金

家族葬の基本プランには、斎場利用料、火葬場利用料、葬祭用品、棺、遺影、搬送費など、葬儀を行うための一式などが含まれます。10人程度の場合でも30万円~70万円程度の費用相場となっています。

飲食費用

飲食接待費は、一般的に会葬礼状や会葬御礼品、飲食費などです。弔問客の数や料理の内容によりますが、通夜振る舞いは一人2,000〜3,000円、精進落としは5000円程度が目安です。10人程度の家族葬の場合の費用相場は、10万円~30万円とされています。

返礼品費

返礼品費とは、葬儀に参列してくれた方々に対して、お礼の気持ちを込めて渡す品物の費用です。返礼品は「会葬礼品」や「香典返し」とも呼ばれ、故人や遺族の感謝の意を伝えるためのものです。

ただし家族葬の場合は用意しないことが多いようです。香典辞退する場合は、香典返しも必要ありません。返礼品の内容や数によって、費用は変動します。

火葬料

火葬にかかる費用で、公営の火葬場を利用する場合、1万円〜5万円程度です。地域によっては無料のところもあります。民間の火葬場は料金が高めでも、公営よりサービス内容が充実している傾向にあります。

火葬料は葬儀社のセットプランに含まれていないケースがほとんどです。

寺院費用

寺院費用とは、葬儀で僧侶による読経や戒名を授かる際に渡すお礼金のことです。仏教に限らず、神道やキリスト教でも宗教者に対する謝礼が必要です。

家族葬を含む葬儀での僧侶へのお布施は、一般的に10万円〜35万円程度です。寺院との関係性や宗派、地域によって金額は異なることがあります。家族葬であっても、一般葬と同様の日程で行われる場合、お布施の金額に大きな差はありません。

また、僧侶へのお車代やお膳代も準備することが一般的です。これらの費用については事前にしっかりと確認し、適切に準備することが大切です。

家族葬の流れ

家族葬の流れ

一日目:逝去

ご逝去後、医師から死亡診断書を受け取り、葬儀社に連絡し、ご遺体の搬送や安置場所の手配を行います。その後、葬儀社がお迎えに来て、ご安置場所まで搬送します。それから葬儀社と詳細な打合せを行います。

葬儀社・お寺の手配

利用する葬儀社が決まっている場合は、速やかに連絡を入れ、遺体の搬送や葬儀の手配を依頼します。仏式での葬儀では、僧侶の読経や戒名を授ける儀式が必要となるため、まず菩提寺(普段お世話になっているお寺)に連絡を入れ、葬儀の日程調整や僧侶の手配を行います。

ご遺体搬送・安置

法律により、死後24時間は火葬できないと定められています。そのため、依頼した葬儀社に寝台車でご遺体を搬送してもらい、葬儀までの間は、葬儀社の遺体安置所や自宅に安置します。

葬儀の打合せ・準備

故人にふさわしい葬儀を実現するために、まず家族で話し合い、葬儀の形式、場所、日時、予算、宗教・宗派、喪主の決定などを検討します。これらの基本事項が決まったら、葬儀社と詳細な打合せを行います。

二日目:お通夜

葬儀の前日(ご逝去から2日目)には、故人の遺体を清めて棺に納める湯かん・納棺の儀式を行います。その後、故人と最後の夜を過ごす「通夜」を夕方18時頃から執り行います。プランにもよりますが、通夜の後に「通夜振る舞い」と呼ばれる食事会が開かれるのが一般的です。

死亡届の提出

「死亡届」は、故人の死を公式に記録するために必要な書類で、死亡から7日以内に提出する義務があり、あわせて「埋火葬許可申請書」も提出する必要があります。問題なく受理されると、納骨の際に必須となる「埋(火)葬許可証」が発行されますので受け取ります。

提出先は市町村役場で、必要事項を記入します。近年では、葬儀社が代行して提出するケースが増えています。

湯灌(ゆかん)の儀・納棺(のうかん)

故人との最後のお別れに向けて「湯灌(ゆかん)の儀」と呼ばれる儀式を行い、お体を清め、化粧を行い、最後に故人を死装束へ着替え身なりを整えてから納棺(のうかん)を行います。

通夜・通夜振る舞い

通夜は、故人と最後の夜を過ごす儀式で、家族や親戚、故人と縁のあった人々が集まり、故人を偲びます。従来の通夜は夜通し故人を見守る形式でしたが、生活スタイルの変化に伴い、半通夜が選ばれることが増えています。

通夜の後には弔問者や親族、親戚に食事や飲み物を振る舞う「通夜振る舞い」を行います。通夜振る舞いは、参列者に対する感謝の意を表し、故人を偲ぶためのものです。

三日目:葬儀・告別式

家族葬出棺

葬儀当日(ご逝去から3日目)は、まず葬儀・告別式が行われ、その後に火葬・収骨が行われるのが基本的な流れです。もし「初七日法要」を前倒しで行う場合は、「精進落とし」も含めてこの日にまとめて行われることになり、全体の所要時間は5~6時間程度となります。

葬儀・告別式

葬儀・告別式は、故人との最後のお別れを行う儀式です。一般的には午前中に行われ、所要時間は1~2時間程度です。

火葬・骨上げ(収骨)

葬儀・告別式の後、故人を火葬場に向かわせます。ここで、故人を火葬炉に入れる前に「納めの儀」が行われ、火葬が始まります。その後、骨上げと呼ばれる儀式が行われ、遺骨を骨壺に納めます。

還骨法要・初七日法要

還骨法要は、故人のご遺骨がご自宅へ戻った際に行う法要です。

初七日法要は、故人が亡くなってから7日後に行う法要です。通常、この法要は故人の魂を悼み、安らかな極楽浄土へと導くことを祈るために行われます。近年では、葬儀当日に初七日法要を行う「繰り上げ初七日法要」や、葬儀・告別式の中で行う「式中初七日法要」が一般的になっています。

精進落とし

精進落としとは、通常は四十九日の忌明けの際に行われる食事のことを指しますが、近年では初七日法要と火葬を同日に行う場合、「繰り込み初七日法要」として火葬後に直ちに行うこともあります。

四日目以降:葬儀後

葬儀が終わったら、ご逝去から葬儀までにお世話になった方へのお礼や、四十九日法要に向けての準備などを行う必要があります。

四十九日法要の準備

四十九日法要(しじゅうくにちほうよう)は、故人が無事に極楽浄土へ行けるよう祈るための法要です。

葬儀費用等の支払い

葬儀終了後、葬儀社から請求書が発行されます。請求書の内容を確認し、問題がなければ支払いを行います。

以上が家族葬の一般的な流れです。

家族葬のメリット

メリット

葬儀費用の節約

家族葬は一般葬に比べて費用が抑えられるため、経済的な負担が少ないのが特徴です。一般葬では、多くの参列者に対応するため、会場費や飲食費などがかかります。しかし、家族葬では参列者が限定されるため、これらの費用を大幅に削減できます。特に、少人数で簡素な葬儀を希望する人が増えている昨今、家族葬は費用面でも魅力的な選択肢となっています。

遺族の体力的・精神的負担を低減

葬儀は故人が亡くなってからすぐに準備を始め、3日以内に終わらせることが多いです。その間、遺族は慌ただしい日々が続き、さまざまな手続きに追われます。家族葬では一般参列者への対応がなくなるため、故人とゆっくり過ごす時間が長くなり、遺族の体力的・精神的負担の低減につながります。

アットホームな雰囲気

家族や親族などの近しい人たちだけで葬儀を行うため、アットホームな雰囲気の中、落ち着いてゆっくりと故人との思い出に浸れます。参列者同士が故人との思い出話に花を咲かせたり、感謝の言葉を伝え合ったりすることで、温かい別れを演出できます。

他の参列者がいると挨拶や対応に追われることが多いですが、家族葬であれば精神的な負担も少なくなります。

家族葬では、故人や遺族の希望を取り入れやすくなります。ひとりずつお別れを惜しむ時間をつくることができ、不要なものを省き、こだわりのある葬祭用品をグレードアップするなどの調整も可能です。

参列者の管理

参列者の範囲を限定することで、事前に人数や準備物を把握しやすくなります。一般葬では多くの参列者が参加するため、人数把握や準備が大変ですが、家族葬では参列者が限定されるため、スムーズな葬儀運営が可能です。

 

家族葬のメリットは、気配りが必要な参列者が少ないため、故人を偲ぶことに集中できることです。人数が少ない分、費用も抑えられ、遺族の体力的・精神的負担も軽減できます。アットホームな雰囲気の中で故人との思い出を共有しながら、心温まる葬儀を行うことができる点が家族葬の魅力です。

家族葬のデメリット

デメリット

参列者の選別が悩ましい

家族葬の最大の特徴は参列者を限定することですが、この選別が非常に難しい点もデメリットです。そのため、故人と親しかったすべての人が参加できない場合があります。どこまでの範囲の人を招待すればよいか、その線引きに悩むことが多いです。

故人との関係性によっては、参列できなかった方とのトラブルに発展する可能性もあります。また、地域性や社会的立場によっては、一般葬を勧められることもあります。事前に周囲の理解を得てから家族葬を執り行うことが望ましいです。

香典が少ない

少人数の葬儀では香典の総額が少なくなるため、葬儀費用を賄うのに十分でない場合があります。一般葬では多くの参列者から香典が寄せられるため、葬儀費用を賄いやすいですが、家族葬ではその分香典の額が少なくなる可能性があります。

小規模ゆえの準備不足

家族葬は規模が小さいため、準備が不足しがちです。少人数だからといって準備をおろそかにせず、しっかりとした計画が必要です。葬儀の準備には多くの時間と労力が必要であるため、事前にしっかりと計画を立てて準備することが重要です。

葬儀後に対応すべき項目が増える

家族葬は簡易的に行えるため、一般葬よりも葬儀の準備や当日の対応が減りますが、葬儀後に対応すべき項目が増える可能性があります。葬儀に参列できなかった方への対応や連絡、自宅に弔問に来る方の対応などが発生することがあります。

訃報を葬儀後に知る方が多いため、葬儀後の弔問客が増える傾向にあります。その対応に追われて疲れてしまわないよう、落ち着いたタイミングで訃報を送る、場合によっては弔問を辞退するなどの工夫が必要です。

 

家族葬には、参列者の選別や後日の対応など、いくつかのデメリットがあります。しかし、これらの点をしっかりと考慮し、事前に対策を講じることで、家族葬のメリットを最大限に生かすことができます。

まとめ

家族葬は多くのメリットを持つ一方で、いくつかの注意点もあります。費用や流れを事前に把握し、落ち着いて故人を送り出すための準備をしっかりと行いましょう。この記事が、家族葬を検討する皆様のお役に立てれば幸いです。

家族葬は、故人との最後の別れを、静かで親密な環境で行うことができる、現代社会に適した葬儀形式です。故人の意思を尊重し、家族の思い描く形で葬儀を行うことができるため、近年では、家族葬を選ぶ人が増えています。

家族葬を検討する際には、メリットとデメリットを理解し、自分たちに合った葬儀形式かどうかを判断することが重要です