また、「後飾り祭壇について詳しく知りたい」「飾り方や設置する際はどうしたらいいのか」「四十九日法要後の処分はどうしたらいいのか」と考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では詳しい意味や飾り方など詳しく解説しますので参考にしてみてください。
後飾り祭壇とは
後飾り祭壇とは葬儀を終えたあとに、亡くなった方のご遺骨や位牌、遺影を一時的に自宅で祀るための祭壇のことをいいます。地域によっては、「中陰壇(ちゅういんだん)」「後飾り」「自宅飾り」「仮祭壇」と呼ばれます。
ご遺族が故人の冥福を祈るための場でもあり、お通夜や葬儀に参列できなかった方がお参りするための場所としての役割も果たしています。
後飾り祭壇を使用する期間は宗教によって異なり、仏式は火葬後から忌明け(四十九日法要後)まで、神式であれば五十日祭まで、キリスト教式であれば追悼ミサ(カトリック)や召天記念日(プロテスタント)までが一般的とされています。
後飾り祭壇を飾る場所
後飾り祭壇は一般的にお仏壇の横もしくは前へ置き、お参りする人が北や西を向くようにしましょう。ただしお仏壇がない場合は、居間・リビングに飾っても問題ありません。また無理に方角を合わせることもありませんが、弔問しやすい場所に設置し、日光が直接あたる場所や湿気の多い場所、日常生活の妨げになる場所は避けるようにしましょう。
宗派・宗教別の後飾り祭壇の飾り方
後飾り祭壇の飾り方は信仰する宗派・宗教によって異なりますので、ご自身の宗派や宗教にあわせて飾りましょう。
仏式の飾り方
仏式の場合は2段もしくは3段の後飾り祭壇を作るのが一般的です。設置するスペースがあまりない場合には2段型、設置するスペースに余裕があり、また仏具などを並べる際にゆとりをもたせたい方は3段型の祭壇を作ります。
基本的には組み立て式白木の祭壇を使いますが、白木ではない素材を使う場合は白い布をかけておきましょう。祭壇には遺骨や遺影、位牌などの他、お供え物やロウソクなどを飾ります。
忌明けの後飾り祭壇の処分を考慮して、最近ではダンボール素材の祭壇も販売されています。
2段型祭壇の飾り方(配置)の例
<上段:遺影(写真)、白木位牌、ご遺骨(骨壺)>
<下段:香炉、花立て、火立、線香差し、燭台、湯呑、仏飯、おりん など>
3段型祭壇の飾り方(配置)の例
<上段:白木位牌、ご遺骨(骨壺)>
<中段:遺影(写真)、お供え物 など>
<下段:香炉、花立て、火立、線香差し、燭台、湯呑、仏飯、おりん など>
浄土真宗の飾り方(配置)
浄土真宗では一段型の祭壇に遺影(写真)、白木位牌、ご遺骨(骨壺)を安置し、仏飯や茶湯などお供えしないのが正式といわれています。
神式の飾り方(仮霊舎)
神式の後飾り祭壇は、「仮霊舎(かりみたまや)」と呼び、白木製の左右に脚が4本ずつ付いている八足台(神道のお供えを置く台)を使うのが基本です。
八足祭壇を用意できない場合は、仏式と同様の2段もしくは3段の祭壇も使用できますが、飾るものが多いためので3段のものを使うことをお勧めします。
<上段:遺影(写真)、ご遺骨(骨壺)>
<中段:霊璽(れいじ)、榊>
<下段:平次、洗米皿、水玉、三方(お供え物をおくための台)、火立 など>
皿には洗米と塩、水玉には水、とっくりには酒を盛ってお供えをします。
キリスト教の飾り方
キリスト教式の後飾りには、特に決まった形の祭壇はありません。一般的には小さめのテーブルに白布をかけて、遺影(写真)、ご遺骨(骨壺)のほか、十字架や聖書、花、燭台、皿にのせたパンなどを置きますが、故人の好きだったものや思い出の品などもあわせて飾りましょう。
それぞれの置き方に明確な決まりがなく、必要なものも少ないので、2段型の台を用意することが多いです。
基本的なお供え物(浄土真宗以外)
「五供(ごくう)」と呼ばれる仏教におけるお供え、『香』『花』『灯明』『浄水』『飲食』の5つが基本です。五供は次の五つから構成されます。
香(こう)
「香」は、お線香やお香のこといい、香りもの線香やお香、香木(こうぼく)など供えます。故人となった人には香りが最も上等な食べ物とされたり、香りにより清められるという香食(こうじき)の考えに基づいています。
花(供花)
「花」は供花(くげ)とも言われ、生花や造花供えます。「香」と同じように故人となった人には香りが最も上等な食べ物とされ、花の香りも非常に好まれるだろうとされています。また仏教では、樒(しきみ)という植物を供える習慣があります。これは、樒の強い香りと毒性が邪気を祓い、故人を悪霊から守るためとされています。
灯明(とうみょう)
「灯明」はロウソクのことをいい、ロウソクで明かりを灯します。仏教においては、サンスクリット語の「ディーパ」の訳で、闇(無明)を照らす智慧の光とされ、重要な供養のひとつとされています。また、仏さまの智慧(私を照らし、めざめさせ、心の闇を破ってくださる働き)を表しており、無明(無知・迷い・根本的な煩悩・愚かさ)を消滅してくれるともいわれています。明かりを灯すことで、故人の心を照らし、供養することにつながるとされます。
浄水(じょうすい)
「浄水」は、お水やお茶といった飲み物のことをいい、故人の喉が渇いてしまわないように水またはお茶をお供えます。
浄水は大清浄(だいしょうじょう:仏教では煩悩(ぼんのう)や罪のないことを言う)の徳をたたえて供えるもので、清浄な水を供えることによって、供える側の心も清められるという意味があります。
飲食(おんじき)
「飲食」は食べ物や飲み物のことをいい、炊きたてのご飯(白米)をお供えするのが基本ですが、季節の果物やお菓子なども供えます。
食べ物を仏壇にお供えする理由は、私たちが毎日不自由なく生きていけるのはご先祖様のお陰とういう感謝を表すためともいわれています。
浄土真宗のお供え物
浄土真宗の教えには、仏様の喉が渇くという考え方がありません。そのため、水のお供えは基本的には不要と考えられています。
「仏様が、のどが渇くのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、お浄土には「八功徳水」(はっくどくすい)という水がふんだんにあり、のどが渇くことはありません。
代わりに、お仏壇の中に華瓶(けびょう)という仏具があります。その華瓶に水を入れ、樒(しきみ)か、木を挿し、樒は香木ですから香水として供えます。
神道のお供え物
神道のお供えは「神饌(しんせん)」と呼ばれ、神饌とは御饌(みけ)とも言って神様に献上するお食事のことです。代表的なものは米を始め、お酒、お餅、海魚、川魚、野鳥、水鳥、海菜、野菜、お菓子、お塩、お水を基本としつつ、地元の産物が捧げられたりします。
家庭でのお供えも、これに準じてお米、お酒、お塩、お水を基本として、その時々に応じて餅やお菓子を供えることもあります。
お米
「洗米皿(せんまいざら)」や「かわらけ」というお皿に、生米や洗米を盛り、お供えします。
お酒
「へいじ」、「徳利」などの神具を対で御神酒(おみき)をお供えします。お酒はお米からできた日本酒をお供えするようにしましょう。
お水
「水玉(みずたま)」、「水器(すいき)」等の神具を使用しますが、ガラスのコップを使用してもかまいません。必ず朝、汲みたての水をお供えするようにしましょう。
お酒
「へいじ」、「徳利」などの神具を対で御神酒(おみき)をお供えします。お酒はお米からできた日本酒をお供えするようにしましょう
キリスト教のお供え
キリスト教式には仏教や神道のようなお供えの習慣がありません。その代わりにかごにお花を入れた「バスケットフラワー」供えることが多いようです。
祭壇の処分について
忌明け(きあけ)、四十九日を迎えると、四十九日法要が執り行われます。四十九日法要では、仮の依り代である白木位牌から本位牌(ほんいはい)に魂を入れ替えてもらう「位牌開眼(いはいかいげん)」も行います。
これにより白木位牌は不要になりますので、処分は菩提寺に連絡を取って、お焚き上げしてもらうとよいでしょう。
また故人のご供養はお仏壇で行うことになるため、後飾り祭壇は不要となり処分しなければなりません。以下に処分方法について解説しますので参考にしてみてください。
葬儀会社に処分してもらう
葬儀社に祭壇を用意してもらった場合は、葬儀のプランに回収まで含まれている場合がありますので、まずは葬儀社に確認してみましょう。もしプランに含まれていない場合でも、葬儀社に処分を依頼することもできます。
地域の自治体にゴミとして処分する
祭壇そのものには仏様の魂が宿っていないため、後飾り祭壇はゴミとして処分しても問題ありません。ダンボール素材の祭壇を選択した場合はより処分をしやすくなります。
仏壇仏具店に依頼する
新たに仏壇仏具を購入する場合は、後飾り祭壇の引き取りも行っている場合もありますので、合わせてご相談をすることをお勧めします。
処分しないケース
葬儀社のプランの中には後飾り祭壇をレンタルとして用意しているところもあります。その場合はレンタル品のため処分せずにそのまま返却する場合もあります。
まとめ
今回は後飾り祭壇について解説しました。
後飾り祭壇とは葬儀を終えたあとに、亡くなった方のご遺骨や位牌、遺影を一時的に自宅で祀るための仮の祭壇のことをいいます。亡くなった方が安心して旅立ちの準備ができるよう、またご遺族や弔問者の方々がお参りしやすいよう、飾り方、お供えするもの理解しきちんと整えておかれると安心です。
四十九日が過ぎた後の処分方法については、各宗教で特に定められていないため、それぞれで処分します。ただし、葬儀プランに回収まで含まれている場合がありますので、まずは葬儀社へ相談してみましょう。またご自身で処分することに抵抗を感じる場合も葬儀社へ回収の相談をしてみましょう。