本記事では、葬儀費用が払えないときの対処法や、利用できる公的制度、費用を抑える方法について詳しく解説します。葬儀費用で困らないためのポイントも併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
葬儀費用がない場合の対処法
簡略化した葬儀を執り行う
葬儀費用を抑えるためには、簡略化した葬儀を執り行う方法があります。例えば、家族葬や直葬など、規模を縮小した葬儀を行うことで、費用を大幅に削減することができます。
また、通夜や告別式を省略したり、寺院や霊園の費用を抑えることも有効です。寺院や霊園の費用は、地域や規模によって大きく異なるため、事前に複数の寺院や霊園を比較検討することが重要です。
香典と香典返し
香典は、故人への供養と葬儀の費用を助けるためのものです。その金額は、故人との関係や年齢に応じて異なります。香典を受け取ることで、葬儀費用の一部を賄うことができます。
しかしながら、香典を受け取った場合、そのお礼として「香典返し」を行います。一般的には、いただいた香典の半額程度の品物をお返しするのがマナーです。
そのため、香典返しや葬儀社への支払いなどを考慮すると、香典を受け取った場合でも最終的には遺族の負担が発生することが多いです。つまり、香典を受け取ったとしても、手元に残る金額はほとんどないと考えておいた方が良いでしょう。
なお、家族葬では、遺族が香典を辞退することが多いです。この場合、葬儀費用は遺族が全額負担することになります。
クレジットカードで分割払いをする
葬儀費用をクレジットカードで分割払いすることも可能です。クレジットカードの分割払いを利用すれば、葬儀費用を一度に支払う必要がなく、毎月の支払いを無理なく続けることができます。ただし、クレジットカードの利用には、金利が発生するため、注意が必要です。
金利は、カード会社によって異なりますが、一般的には年利10%から20%程度です。また、手数料もカード会社によって異なりますが、一般的には1回あたり数百円から数千円程度です。
クレジットカードの分割払いを利用する場合は、返済計画をしっかりと立てておくことが重要になります。
葬儀ローンを活用する
葬儀費用がまとまって支払えない場合は、葬儀ローンを活用する方法もあります。葬儀ローンは、葬儀費用を借り入れることができるローンであり、金利はクレジットカードよりも低く設定されている場合が多いですが、返済期間が長くなると、総返済額は高額になります。
そのため、葬儀ローンを利用する際には、返済計画をしっかりと立てておくことが重要になります。返済計画を立てる際には、自分の収入や支出を把握し、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
市民葬や区民葬を利用する
市民葬や区民葬は、自治体が主催する葬儀であり、通常の葬儀よりも費用が安く抑えられます。これは、自治体が葬儀会場や霊園などの費用を負担しているためです。市民葬や区民葬は、地域によって名称や内容が異なるため、事前に自治体に問い合わせる必要があります。
市民葬・区民葬の例(東京都調布市)
料金表 2024年6月現在
区分 | A券 | B券 |
---|---|---|
葬祭料 | 232,540円 | 124,080円 |
祭壇 | 金らん5段 | 金らん3段 |
霊柩車(普通車20キロメートルまで) | 19,530円 | 19,530円 |
火葬料(遺骨容器含む) | 71,590円 | 71,590円 |
合計 | 323,660円 | 215,200円 |
- 葬祭料に含まれるもの
金らん祭壇、飾り付け一式、木棺、白木位牌、会葬用印刷物一式、焼香用具、祭壇用後幕一式(祭壇の使用日数は2日間とし、以後は実費となります) - 別途料金となるもの
寝台車、ドライアイス、遺影写真、会葬礼状、ハイヤー、マイクロバス、火葬場休憩室、飲食代、テント、看板提灯類一式、枕飾り、後飾り、式場使用料、寺院等のお布施、返礼品、通夜、精進料理、生花等
(注)上記のものは別途料金となるため、取扱業者に相談が必要です。
生命保険と預金の利用
故人が生命保険に加入している場合、死亡保険金を受け取れます。この保険金は比較的スムーズに支払われ、相続財産には含まれないため、葬儀費用として利用できます。請求には、請求書、住民票、戸籍謄本などの書類が必要です。
故人の預貯金を利用することも可能です。ただし、遺産分割協議が終わらないと引き出しが制限される場合があります。
葬儀保険の活用
葬儀費用に備えるための死亡保障です。短期間で積み立てが可能で、医師の診察が不要な商品が多いです。持病があっても加入しやすいのが特徴です。80歳以上の高齢でも加入もできます。
掛け捨て型のため保険料は低めに抑えられますが、解約時に返戻金がないため貯蓄性はありません。また、この保険は1年ごとに更新され、年齢に応じて保険料が設定されるため、更新時には保険料が上がる可能性があります。
いざという時のため、あらかじめ加入しておくことお勧めします。
国民年金の死亡一時金
亡くなった日の前日までに第一号被保険者として36ヶ月以上保険料を納めた方が対象です。保険料の納付月数に応じて12~32万円受け取れます。申請は、亡くなった日の翌日から2年以内に行う必要があります。
揉めずに葬儀費用を払うためのポイント
事前に家族内で話し合う
葬儀費用は、事前に家族内で話し合っておくことが重要です。特に、故人が生前に葬儀に関する希望を伝えていない場合は、家族間で意見が食い違う可能性があります。事前に話し合っておくことで、葬儀費用に関するトラブルを回避することができます。
あらかじめ支払う人を決めておく
葬儀費用を誰が支払うのか、事前に決めておくことも重要です。故人が生前に遺言書を残している場合は、遺言書に従って支払う人を決めます。遺言書がない場合は、家族間で話し合って決める必要があります。
葬儀費用を誰が支払うのか事前に決めておくことで、葬儀後にトラブルになる可能性を減らすことができます。
葬儀会社とコミュニケーションを取る
葬儀会社とコミュニケーションを密にすることで、葬儀費用に関する疑問や不安を解消することができます。葬儀会社は、葬儀に関する様々な知識や経験を持っていますので、葬儀費用に関する相談を積極的に行いましょう。
葬儀会社に相談することで、葬儀費用を抑える方法や、公的制度の利用方法などを教えてもらうことができます。
葬儀費用の疑問と解決策
最も費用がかからない葬儀形式は?
最も費用がかからない葬儀形式は、直葬です。直葬は、通夜や告別式を行わず、火葬のみを行う葬儀形式です。葬儀は義務ではありませんので、火葬のみでお別れを済ませることも可能です。直葬は、費用を抑えることができる一方で、故人とのお別れをする時間が短くなってしまうというデメリットがあります。
直葬を行う場合は、故人の意思を尊重し、家族や親族とよく話し合って決めることが重要です。
直葬の費用がない場合の対策
直葬の費用がない場合は、家族や親族に相談して、費用を分担してもらう方法があります。また、自治体によっては、葬儀費用の一部を助成する制度がある場合もあります。
葬儀費用が払えない場合は、葬儀会社や自治体、社会福祉協議会などに相談してみましょう。
まとめ
葬儀費用が払えないときの対処法や利用できる制度を知ることで、いざというときの不安を軽減し、適切な対応ができるようになります。
故人の預貯金で賄えない場合や、急な支出で準備ができないときは、葬儀会社や自治体、社会福祉協議会などに相談してみましょう。
葬儀会社は、葬儀費用に関する様々な情報を提供してくれます。自治体や社会福祉協議会は、葬儀費用に関する助成制度や相談窓口を紹介してくれます。