・葬儀を執り行う意味はあるのか?
・葬式をやる意味がわからない?
そんな疑問を解決できる記事になっています。
なぜなら、葬儀の役割を理解することで葬儀を執り行う意味が分かるからです。
この記事では葬儀の役割を社会的役割、心理的役割、教育的役割、物理的役割、宗教的役割の5つの役割から解説していきます。
記事を読み終えると、葬儀を執り行うことの理解が深まります。
葬儀を執り行う意味は
葬儀は、亡くなった人を尊重し、故人との別れを迎えるために行われる儀式です。葬儀にはさまざまな文化や宗教におけるさまざまな儀式が存在しますが、一般的には以下のような目的があります。
- 故人への最後の敬意と感謝: 葬儀は、故人に対する最後の敬意を表す場です。家族や友人が故人に感謝の気持ちや愛情を表現し、共に過ごした思い出を振り返ります。
- 遺族と周囲の人々の支え:葬儀は、遺族や友人、知人がお互いに支え合い、悲しみや喪失感を共有するための場でもあります。共同体や社会が結束し、亡くなった人の死を受け入れる助けとなります。
- 宗教的・霊的な要素:多くの宗教において、葬儀は霊的な意味を持ちます。死後の世界への移行や、故人の魂の安息を祈るための宗教儀式が含まれることがあります。
- 社会的な儀式としての機能: 葬儀は、社会的な儀式としても機能します。死者の社会的地位や役割を確認し、その人が残した功績や影響を称えることがあります。
- 喪失を受け入れるプロセス:葬儀は、喪失を受け入れ、悲しみを処理するための手段として機能します。儀式を通じて、亡くなった人との別れを実感し、喪失に向き合うことができます。
これらの要素は文化や信念によって異なる場合がありますが、一般的に葬儀は故人への敬意や感謝の表現、喪失の受け入れ、そして社会的な結束の一環として機能します。
葬儀を執り行う人
葬儀を執り行う際は「喪主」と「施主」、それぞれの立場の責任者がいます。
喪主とは葬儀を執り行う責任者。故人の最も近しい関係者や葬儀の主催者が通常、喪主の役割を果たし、この責任は、故人の配偶者や子供によって担われることが一般的です。
一方、施主とは「(金品などの)布施をする主」、葬儀そのものを取り仕切って運営の責任を負い、かつ葬儀費用を負担する人。経済的サポートのみならず、供養を執り行う喪主を陰ながらサポートするのが施主の役割です。
葬式をやる意味がわからない?葬儀の役割は
「お葬式をやる意味がわからない」、「お葬式に参列するメリットがない」、「お葬式はくだらないし、やる意味を見いだせない」など葬儀を行うことにネガティブな意見があります。
この様に葬式に対する否定的な感情が広がっているのは、現代社会において情報化と個人主義の進展により、個人の価値観やライフスタイルが多様化し、伝統的な葬儀に対する疑問が生じているからです。
特に、戒名や香典の概念が時代遅れと考えられ、葬儀費用の高騰も否定的な感情を助長しています。また、無宗教化や宗教観の多様化も影響を与え、伝統的な宗教儀式に代わり、より個人的でシンプルな形式が好まれているからです。
しかしながら、お葬式にはいくつかの役割があると昔から考えられています。葬儀に関わり合いがある人たちにとっての教科書、葬儀概論によると葬儀には5つの役割が示されています。
社会的役割、心理的役割、教育的役割、物理的役割、宗教的役割
この5つの役割から成り立っており、このどれが欠けても私たちの大切にする「心のこもったお葬式」は成り立ちません。
1.社会的役割
人間は、一人ではこの世の中を生きていくことができません。
人は社会の中で生きており、その人それぞれの歴史の中で、たくさんの人々と関わり合いながら生きています。
家族、友人、知人、近隣の人、会社の同僚など、お葬式はそういった人々との別れの場であり、その方達のための儀式としての意味も持つのです。
社会に故人の死を報告し確認させることで、遺された人たちは今後の故人のいない社会での身の振り方を考えていけるのです。また、役所や法律関係などの届出や手続きなどもこの社会的役割に該当します。
2.心理的役割
お葬式の一連の流れは色々な工程があります。
遺族や残された人々は、そのプロセスの中で故人の死と向き合うことによって、「死」を実感することができるのです。
大切な方が亡くなった事実と悲しみは深刻な心の痛みを生じさせます。悲しみを癒す為には、長い時間が必要です。ご逝去からお通夜・葬儀・その後の喪に至る間で少しずつ悲しみを癒していく必要があります。
中にはお葬式をせずに直葬で済ました後に、その悲しみを整理できず精神的に不安定になるケースもあります。
「死と向き合う時間」を作ることで、大切な人を亡くしたことを受け入れることができ、深い悲しみをも昇華し、一つ一つ普段の生活を取り戻していくために重要な役割となっています。
3.教育的役割
地域の人たちは葬儀の一連の流れを通して、それぞれの立場を理解し、それぞれの役割を果たしました。それを見た子どもたちは、人の死や葬儀について理解を深めていきます。
葬儀は親や周りの大人が子どもたちに対して、人間社会における人との関わりや絆、一人の人の人生が終わることの意味、命が消えることの重大さを教え、弔う方法を伝える大切な場でもあります。
葬儀という場面に立ち合い、参加することによって、「いのち」の尊さを学びます。
4.物理的役割
人間の身体も他の生物と同様に死ぬと傷んでいきます。ご遺体をそのままにしておけば腐敗が進みます。
亡くなった方の尊厳を守る為にもご遺体をそのままにしておくことはできず、必ず処理(火葬、埋葬)しなくてはなりません。
ご遺体の処置は、ご遺体との別れであり、死者との決別を意味します。ただし、見える形での最後のお別れとなる行為であり単なる物理的な役割とは言えません。
5.宗教的役割
葬儀には死者の霊を慰めて「あの世」(来世・彼岸)へ送り出すという意味があります。さまざまな国や宗教観で ”人が死んだら魂や霊が肉体を離れる” と考えられています。
そして、あの世でも故人が安らかに幸せでいられるようにと残された人たちが祈ったことが、「お葬式」の始まりだとも言われています。
宗教によって言い方は異なりますが「供養」「祝福」などの行いは、根底にある「祈り」の気持ちがお葬式には不可欠であり、また、その祈りによって故人はもちろんのこと、残された人の心の傷も癒してくれる役割もあります。
【参考文献】
・『葬儀概論』四訂(表現文化社)
まとめ
大切な方が亡くなった事実と悲しみは深刻な心の痛みを生じさせ、その悲しみを癒すためには長い時間がかかります。
葬儀を行った方がよい理由の一つの中に、遺族や残された人々の悲しみを整理する役割も含んでいます。
この役割があることから、安易に葬儀を行うことを避けたことで後々、後悔しないように判断するようにしましょう。
葬儀を執り行う意味について調べている方がよく思う疑問4選
葬儀は主に故人の供養を目的としていますが、同時に遺族や親しい友人たちの心を癒す重要な役割も果たしています。 葬儀を通じて故人を追悼し、遺族や友人たちと感情を共有しながら心の整理を行います。 故人の最期に何か手助けをしたいという思いを葬儀の儀式を通して具現化させるのがその目的です。
日本では法令により、死亡後24時間以内に埋葬や火葬を行うことは許されていません。 通常、葬儀後に遺体は火葬場で焼かれ、法令に基づき、葬儀が行われるまでに約1日経過した後に執り行われることとなります。
葬儀を執り行う人は、葬儀を執り行う責任者である喪主になります。喪主は故人に代わり参列者を迎える遺族の代表者で配偶者、血縁関係の深い人が務めるのが一般的です。
「訃報」は公式な通知や報告に使われ、冷静な文体であるのに対して、「逝去」は感傷的であり、個人や親しい関係者の言葉として使われることがより一般的です。